写真は、福島県郡山にて、漢字の勉強会にお邪魔した時のものです。
殷時代の甲骨文を読み取りました。
ただ、読むだけではつまらない。
亀甲に貞人と呼ばれる神官が占いを読み上げ、ひび割れをおこし、
その亀甲に出来たひびによって、神意を読み解いたのです。その当時神意を読み取れる人は王ただ一人でした。
そして、その儀礼が終ると、この亀甲は書記官の手に渡されました。
私が扮した書記官は
この儀礼がいつ行われたものか、貞人が誰であったか、その占いはどんな内容か、王の吉凶判断はなどを書します。
書記官はすさまじい頭脳の持ち主で全部頭に入っていたわけではないと思われます。
筆も竹簡などもあったので、書いていたのでした。
例えば、王が凶の判断として、「たたりあり~!」と言えば、その凶となった現実を書きました。
甲骨文を読めば、いたるところに、たたりとしてどんな出来事があったのか、書記官がしっかり書いていることが分かります。
書記官はひび割れを避けるようにして、この亀甲に儀礼の内容を竹簡などを見ながら、書いたのだと思われます。
その字をもとに契刻者が彫っていったのです。
今でも篆刻として彫る時に、いきなりは彫れませんよね。
刻者は書記者の下書きをもとに彫ったのです。
こういったことを想像して、
勉強会でビジュアルでお見せしたというわけです。
11月1日でした。
ちなみに書記者の安東は、冠のところに筆がささっております。いつなんどきでも筆で字が書けるように、後世になっても書記者は筆を腰に下げたり、耳にはさんだりしていたのです。
安東は古代の書記者になることを夢見て、書道研究家を続けております。
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甲骨文書法研究家 安東麟